2019年2月24日日曜日

焼木尻岳

焼木尻岳に行ってきた(20190224)。例年になく暖かな睦月下旬。
低山ではあるが、山頂付近の緩斜面やルート上の尾根、急斜面、植林不適地等に原生的ブナ林の中を歩ける。双耳峰らしき定高の尾根の東面は岩斜面、そして広大な雪崩斜面(無植被)などが楽しみな山だ。山スキーではスタート~ゴールまでスキーを着脱することのない地形になっていて、その愛好家には、木立もうるさくない楽しみな山になっている(1999年に、6人で山スキーを楽しんだ。…共に滑った同行の者らは今は遠く去り、おもえば同山は懐かしけれど、今はひっそりと残るはカミさんと二人か!)。


 *スタートは須賀川沿いCon160m地点。:館配水池 字社の山 352-13.厚沢部町簡易水道配水施設(2池.施設能力 722㎥/日.配水池容量  ①285㎥ ②168㎥) 

*須賀川Con160mから上流に向かって沢沿いに作業路らしき道を歩いた。トドマツの林にスギの孤立する大径木が混じる等(カラマツもあった)の植林地の緩やかな沢沿い路を進んだ。Con220m辺りで沢を離れて、独立標高点401m~山頂561.0mへの尾根ルートへトドマツ植林のなかを登った。以下の写真(穏やかな尾根ルートへ)。

 *植林地とブナ林の界:利用区分が明瞭だ。丁寧な森林管理の様子がうかがえた。昔の林業家は尾根に天然林は残すもの。山を守るために尾根を皆伐したいこと。そう考えていたようだ。


 *こちらは急な斜面や尾根に、ブナ林の中にトドマツが点生(天然更新)していた。


 *所々にのれもトドマツが点生するようすだ。道南では、自然生のトドマツが森林を作るところはきわめて少ない。多くは、見たようにほとんどはブナ林の中に点々と生えているのが通常だ。


*山頂付近のブナ林の樹形には、さすがに強風に生きているようすがうかがえる。


*頂上も間近のブナ林のようす。山スキーにはいい斜面が続いている。


 *丁寧な標識だ。「登山者にはあくまでそのままの山頂であってほしい。必要ないといっては気になる看板を取り外すこともあったという深田久弥がいたように、身近にも、標識は無い方がいいのだという方もいる。それぞれ様々の事情だろうけれど、自然の中に居る自己の存在を思う心の持ちようはさまざま。


*山頂の孤立木は、ナナカマドにオオカメノキ(一人前に立派な花芽を着けていた)。奥に見えるスカイラインは、山頂の東側にあって、急崖がそうとう長く続いている非対称の尾根になる。
雪庇か・雪堤か、おそらくチシマザサが滑り台となる東側の雪庇。遅くまで残雪域の雪堤との違いは?。
立入禁止ライン(雪庇域)は植生が教えてくれることもある。展望の良い端っこに立ちたい衝動に駆られるが、ここは植生の様子から自重することになった。

*僕が勝手に「桧山~上磯丘陵」と呼んでいる。中山峠~稲穂峠間の50㎞に及ぶ分水嶺で、200m~400mの低平な山稜が続く。焼木尻岳の雪稜から谷間に低平な分水嶺を見る。分水嶺の向こうに雷電山や設計山が指呼の間に見える。
分水嶺を谷間に鳥瞰的に見るとは少し立ち止まって地形図を見ないと「オヤッ」とおもう。ここは分水嶺はかなり低い。山頂から稜線を俯瞰するのが登山のだいご味だが…分水嶺が谷間に見える場所はなかなか少ない。

*ダケカンバ二次林:直下に隣接してトドマツの植林地。


*かなり古い地滑り跡の地形が、稜線から下りた近くにあった。U字形の急崖が、下の窪んだ地形を囲んでいる。大径のブナの疎林中に大径のダケカンバが立っている。


*雪上レストランと呼んでいる。陽だまりに恵まれて・・・。


*深層崩壊、地滑り地形、押し出し地形、表層剥離、崩積地、匍行斜面、etc.地形は常に作られ続けている。


*地滑り地形の底に立つ地衣類の美しいブナの樹肌1


*地滑り地形の底に立つ地衣類の美しいブナの樹肌2


*地滑り地形の底に立つ地衣類の美しいブナの樹肌3


*地滑り地形の斜面に立つブナ林:春近し、心なしか樹冠小枝に勢いを感じられた。身近に雪上散歩を楽しめる山域とお勧めできる。

*採取した根状糸状菌束(写真は下)
……………記……………
根状菌糸束(黒光沢の太く硬い糸状菌糸の束)
・俗称(ヤマウバノカミノケ)
・形態(乾燥への強靭な生活形)
・同定(担子菌類だが特定の種の菌糸束ではない)
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なお
採集場所:厚沢部町社の山先「焼木尻岳麓」標高450m(ブナ林内の雪上落下枝)。
採集時期:2019年2月24日(日)
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【きのこの驚きの秘密】より改変転載http://www.kinokkusu.co.jp/etc/09zatugaku/himitu/himitu01-7.html
ヤマンバノカミノケ(山姥の髪の毛)とは、特定のきのこ(子実体)を指す名前ではなく、樹木(小枝)や落葉上に「根状菌糸束」と呼ばれる独特の黒い光沢を持った太くて硬いひも状の菌糸の束に対して、伝説の奥山に棲む老婆の妖怪である「山姥(ヤマンバ)」の髪の毛になぞらえて命名されたものなのです。
 この黒色の根状菌糸束を形成するきのこには、ホウライタケ属やナラタケ属、さらには子のう菌であるマメザヤタケ属のきのこが含まれ、林内一面に網目状に伸びることもあれば、数メートルの長さに達するものまであります。通常、きのこの菌糸は乾燥に弱いのですが、ヤマンバノカミノケと呼ばれる菌糸束は細胞壁の厚い丈夫な菌糸が束の外側を保護していることから、乾燥や他の微生物からの攻撃に対して強靭な構造となっています。
 因みに、ヤマンバノカミノケの子実体を発見し、根状菌糸束であることを日本で始めて明らかにしたのは、世界的な博物学者として知られている南方熊楠です。ヤマンバノカミノケは丈夫で腐り難いことから、アフリカのギニヤやマレー半島の原住民などは織物に利用しており、日本では半永久的に光沢があることから、神社やお寺などの「宝物」として奉納しているところもあるようです。


 写真引用文献
 きのこ博物館(2003年)
 著者:根田仁、発行所:八坂書房会
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1. 京都府下に於て採集した茶髪の毛病菌は, その子実体を研究した結果Marasmius equicrinis MULLERと同定された。2. 分離菌は馬鈴薯煎汁寒天平面培養において髪の毛状菌糸束及び子実体を形成した。培地上の菌糸生長の最適温度は24°∿28℃であり, 生長の最高限界温度は36°∿40℃である。菌叢直径の伸長は馬鈴薯煎汁寒天培地に於て最も良好であつたが, 気中菌糸の発達は麦芽及び醤油培地の場合よりも遙かに劣つた。3. 菌糸の致死温度は湿熱では45℃で5∿10分, 50℃で5分以内, 乾熱では45℃で10分以上, 50℃で5分以内であつた。4. 培地の培養前水素イオン濃度と菌糸の生長との関係についてpH9.2では生長が殆ど認められなかつたがpH3.0では生長可能であり, 生長に好適な水素イオン濃度はpH4.8∿5.8と推定せられた。5. 各種の農薬に対する菌糸の抵抗力を試験した結果, 石灰ボルドー, 石灰硫黄合剤, 水銀剤及び銅水銀剤等の常用濃度に於て概ね死滅するものと推定された。 
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