2019年8月18日日曜日

尾札部川(’19)

尾札部川の河口からの遡行は6~7kmほどで源頭へ至ります。蛾眉野との分水嶺にですがそこは標高の低い稜線(毛無山付近で標高500m)になっています。集水面積も約10平方mと狭い範囲にあります。この度は二股の下流にある大滝を往復する沢歩きで、標高差はほとんどありません。

・ 下図は入渓地と行動ストップの大滝の付近の位置図(地理院地図)です。 
凡例1:緯線(横点鎖線)間隔は5秒刻みです。緯線間隔は約155mです。駐車場から行動ストップまでの距離は4km。標高はスタート地点で30m~行動ストップ地点では60m。
凡例2:赤実線はアプローチ歩道。赤ピンは入渓地と行動ストップ地点を示します。
凡例3:下図には針葉樹マークは7個あります。広葉樹マークは7個です。
針葉樹林は沢の両岸に広がっていることが分かります。(遡行中は落葉広葉樹の天然林でした。針葉樹林はほとんど見えません。このわけは土砂流出に配慮した伐採が行われたからと思われます。この件は、下に少し記述しました。)



・ 入渓地に自生するカバノキ科のアカシデ(川沿いの急傾斜地)。松前半島から噴火湾側~太平洋を北上しているようです。芽出しや紅葉が美しい樹種です。
・ 入渓ポイントへのアプローチ路は、スギや下図のトドマツ植林地の林が続いていた。

・ トドマツ植林地。
遡行中はスギやカラマツ・トドマツなどの針葉樹林は目に入らないけれど、沢身の両斜面に向かって目を凝らすと、狭い幅の天然林の向こうの斜面には植林地が広がっているようでした。海抜高が低位にあるし、地形図を見るとその地形は緩斜面が広がっているようでした。土地生産力は高いのだろうと思われます。したがって天然林を伐採し効率の良い針葉樹の植林地に替える、つまり林種を替える施業方法だろうと考えられます。しかしながら他地域と異なるのは、海産物の生産力がかなり高いと言われる噴火湾の漁場保全のために、土砂流出を恐れて、流水域近隣の林は植林地に改変されず天然林が維持されたのでなないか!・・・そうすると、美景の沢を遡行できるのはそのことになります。美景の保全はありがたいことです。

・ 入渓地の河床の様子:クサギも開花中で数株が紅白の花をつけて目立っていた。河床の凝灰岩や軟質の頁岩が見えるが、大いに角礫っぽい席礫が多く、円礫側の石はほとんど見えなかった。数日前の雷雨に、河岸の崖が崩れ、流されてきた岩礫の堆積であろうか!


・ ヤグルマソウ(Saxifragaceae):西南部が北限とされている。河畔の肥沃な岩礫地に沢山自生していた。本州要素は松前半島に色濃く分布していることを経験則で承知している。一方亀田半島はどうだろうか?一部の種だけはそうであろうと、亀田半島を歩くことが少ない僕はかってにそう考えていた。思い違いであろうか。最近亀田半島でその他幾つかを目にするようになってきた。               カリガネソウなど



・ やや緑色っぽい凝灰岩の露頭。どんどん河床に落石している様子に見えた。河床へ供給していた岩礫のだったのか!


・ 緑色の凝灰岩:グリーンタフか。緑色の河床の何故か滑らない。靴底をしっかりグリップしてくれる岩だった。そして目に心地よい緑色だった。大水の時は、頁岩などの石礫がゴロンゴロン流されて、美しいい緑色凝灰岩の河床は広がることになる。そうでないと、黄褐色の石礫で河床はほとんどおおわれてしまうだろう。



・ 黒い溶岩っぽい岩は何か! 河床を覆うように、時に黒に、時に再結晶し変質した白い細線も見えた。



・ 溶岩っぽいこれは溶岩の”元気な子”(?)か? なにやら流水に磨かれて、随分と丸みを帯びていた。



・ 淵に迫っている岩も。(黒っぽい丸く磨かれた岩石を岩にぶつけて破壊したところ堆積岩(黒っぽい頁岩:下の図)だった。)


・ 砕いたみどりっぽい岩(接写)

・ 砕くたら二つの分かれた黒っぽい円岩


・ 砕くたら二つの分かれた黒っぽい円岩の片割れ。右に並ぶのは汐首岬のジュラ紀硬質頁岩。

・ 岩場を形成するみどりっぽい岩を叩き落した。

・ (その接写)


・ 尾札部川のルート周辺の地質調査5万図をみてみます。


・ 行動中止にした大滝に至りました。少し泳ぎを入れれば、短く簡単なロープフィックスで左岸の縁を狙えそうでした。フィックスもブルージックもハーケンの練習にも左岸はいいようです。堆積岩なのでビギナーでも何とかなと思いました。








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◇入渓地点co25m45m=川汲層の凝灰岩<形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: デイサイト・流紋岩 溶岩・火砕岩>

・デイサイト
 デイサイト英語: dacite)は、火成岩の一種。成岩花崗閃緑岩に対応する。過去には「石英安山岩」と呼ばれていたが、成分的にデイサイトであっても石英結晶を含まないものもあり、また現在では山岩よりも流紋岩に近いという考え方が主流であることから、「石英安山岩」の名称は使われなくなった。
火山岩は岩石全体の成分(特にSiO2の比率)で分類され、デイサイトはSiO263 - 70%アルカリ成分の少ないもの。通常は斑状組織を持つ。色は白っぽいことが多いが、噴出条件や結晶度などにより多様である。
斑晶および石基として、有色鉱物である黒雲母角閃石輝石無色鉱物である斜長石石英等を含む。

・流紋岩 
 流紋岩(りゅうもんがん、英語: rhyolite)は、火山岩の一種。花崗岩に対応する成分の火山岩である。
「流紋岩」の名称は、マグマの流動時に形成される斑晶の配列などによる流れ模様(流理構造)がしばしば見られることによる。以前は、流理構造の見られないものを「石英粗面岩(せきえいそめんがん、liparite)」と呼んでいたが、現在では流紋岩に統一され、石英粗面岩の名称は用いられない。
 火山岩は岩石全体の成分(特にSiO2の比率)で分類され、流紋岩はSiO270%以上のもの。通常は斑状組織を持つ。色は白っぽいことが多いが、噴出条件や結晶度などにより多様である(黒い流紋岩もあるので色だけでは判断できない)。
 斑晶および石基として、無色鉱物である石英長石(カリ長石・斜長石)、有色鉱物である黒雲母角閃石(まれに輝石)等を含む。
流紋岩とデイサイトの中間的な性質の火山岩を流紋デイサイトrhyodacite)と呼ぶことがある。

・火山砕屑岩
【岩>64mm<64~2><2mm 】(火山角礫岩>64 凝灰角礫>64)(火山礫凝灰岩<64~2>)(凝灰岩>2㎜)





co45mco100m二股~左股全域=木直層の凝灰岩<形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: デイサイト・流紋岩 貫入岩>

co100m二股付近横断=安山岩質プロピライと石英斑岩<二股分岐co95m~coo105m間=形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: 安山岩・玄武岩質安山岩 貫入岩>

◇二股から右股=石英安山岩質プロピライト<右股co105mから上流=形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: デイサイト・流紋岩 貫入岩>

◇右股co220mまで河床に三か所介在=汐泊川層の硬質頁岩 頁岩互層<形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 バーディガリアン期〜前期ランギアン期前期 岩石: 海成層 砂岩泥岩互層>  参照:地質ナビ【東海と尾札部】
<64><2mm><64>