2019年9月24日火曜日

磁北(北磁極)の移動

 何時でも何処でも登山装備の三点セットは、地図・ホイッスル・磁石といわれることがあります。磁石に関連してついでに磁北についても心得ておかなければなりません。近年の地図アプリは、経緯度を希望の間隔で手早く描いてくれます。

  またその土地に沿った磁北もワンタッチで描いてもくれます。地図を持ち歩き始めたのが15歳の蔵王縦走でした。真北と磁北を知ったのもその時でした。地図作りを始めたのが二十歳過ぎです。

 空中写真測量から地ぼう図も作りました。主な地図会社に、空中写真から等高線を描くドイツ製の機器が導入されるようになりました。ほぼスケッチに頼った地形図から、全国隅々まで等高線はほぼ同じ精度で描かれるようにもなりました。

 もちろん磁北や真北はとても重要な情報として扱いました。その後地図づくりや空中写真から地ボウ図作成等から離れてからは、北海道の南でー8°、北でー9°の値が頭に有れば山歩きには十分でした。 最近地図の講座があって、知内の地形図の磁北はがー10°付近の値が解説されていました。驚きましした。これほど短い期間に...。

 俺が生きているうちにその値が1°変化するとは考えられなかったから目を丸くしてしまいました。 たまたま、地質学者のメールマガジンに上記を首肯する論説がありました。常識のレベルアップが迫られた思いでした。

地球のささやき Sound of the Earth ■小出良幸 (メールマガジン)
・3_180 北磁極の移動 1:ノースアップ(2019.08.22)

・3_181 北磁極の移動 2:探査と特徴と(2019.08.29)

・3_182 北磁極の移動 3:コアの対流(2019.09.05)

・3_183 北磁極の移動 4:地磁気の逆転(2019.09.12)


・3_184 北磁極の移動 5:移動速度と逆転(2019.09.19) 磁極の移動速度が大きくなっています。これは何を意味しているのでしょうか。もしかしたら、地磁気逆転の前兆現象かもしれません。文明社会は、逆転現象を経験をしていません。科学技術では、大きな混乱が起こるかもしれません。

 Essay■ 3_184 北磁極の移動 5:移動速度と逆転  外核の液体の金属鉄が対流することが、地磁気の発生原因でした。地磁気は流体の流れに由来しているため、不安定で、変動が起こり、時には磁気のN極とS極が反転するようなことも起こります。

地磁気の逆転は、過去に何度も起こっており、今後も起こると推定されます。  現在の北磁極はカナダのエルズミーア島の西の北極海にあり、1900年頃にカナダ本土のすぐ北にあったことは、すでに紹介しました。その移動距離は、100年ほどで1100kmになります。

平均すると年間10kmほどになります。しかし、長期間、詳しく観測していると、移動速度が変動していることもわかってきました。  1970年には年間9kmであった移動速度ですが、2001年から2003年までは年間41km、近年では年間55kmほどになってきました。

移動速度がだんだん大きくなっていることがわかってきました。
  地磁気の観測は、地理作成や移動、交通など現在の社会では重要な情報になっています。ですから、定期的に観測をしてデータが公開されています。

アメリカ海洋大気局(NOAA)は、通常5年毎にデータを更新しているます。しかし、NOAAは、2019年1月に1年前倒して4年でデータを更新しました。それは「北極地方における予期せぬ変化のため」としています。

  上でも紹介しましたが、北磁極の移動は、外核の対流の変動のためだと考えられています。ですから、現状のまま変動し続けると、もっと大きな異変が起こる可能性もあります。その異変とは、磁極の逆転です。

  過去に磁極の逆転は何度も起こっているので、今回の北磁極の移動のその前兆かもしれません。もっとも最近の逆転事件は、これも前に紹介しましたが、258万1000年前から77万年の松山期と呼ばれる、現在とは逆磁極期がありました。

詳しくみると松山期にも、短い期間(数万年)での正磁極期になる逆転現象が、5回ほど起こっていますが、全体としては逆磁極期が長いため一括して松山期とされています。他の磁極期でも、同様に短い逆転現象が、多数起こっています。

  77万年前から現在までは、「ブリュンヌ正磁極期」と呼ばれています。不思議なことに、ブリュンヌ正磁極期には、逆転現象が全く起こっていません。この77万年間、地磁気が非常(異常?)に安定している時期となっています。

外核の対流を考えると、いつ逆転現象が起こってもおかしくはありません。今回の移動速度の変化が、磁極の逆転につながる前兆かもしれません。

  逆転は少なくとも数百年、数千年の期間かけて起こるでしょう。その間、地磁気が弱まったり、なくなったりすることになるはずです。70万年以上逆転現象がないので、現在起こると、どのようなことが起こるかは、記録もなく不明です。

  その時を推定できる小規模な現象が、時々起こっています。太陽のフレアの激しい活動で、地球に磁気嵐が起こります。磁気嵐では人工衛星の故障や通信障害などが起こりました。現在社会は、ますます電波や電子機器に依存しています。

もし逆転現象が起これば、地磁気が長期間なくなることになります。そこで、大きな混乱が起こかもしれません。  たとえ今回の移動速度が逆転現状の前兆ではなくても、やがて地磁気の逆転現象が起こるはずです。

その時の対処も考えていてもいいのではないでしょうか。


 Letter■ 休日への配慮・校務出張  ・休日への配慮・ 月曜日休日が2回、連続します。 大学は夏休み期間の終わりなので、 23日の秋分の日だけが休講になっています。 曜日ごとの週間スケジュールでものごとでは この月曜日の休日のシステムは、大きな影響があります。 しかし、国には祝日を多くすることのほうが重要なようなので 学校教育などの不都合は顧みられません。 まあ、今の国は、国民、庶民への配慮は少ないようです。
 ・校務出張・ 今週後半は、1泊で校務で出張します。 宿泊の出張は、頭さえ切り替えておけは、 気分転換となります。 早朝の出発なので自家用車ででかけます。 そのため、体力的は疲れそうなので 無理をしないように早目にでて 休み休み行こうと考えています。