2007年7月15日日曜日

トムラウシ山(ワセダ沢)


http://morinotuti.web.fc2.com/07.08.25KAMUEKU.html

’07.07.15トムラウシ山(ワセダ沢)ルート:トムラウシ川~地獄谷~ワセダ沢~トムラウシ山 2141.0m(三角点:富良牛山.2140.44 m)
トムラウシ山のバリエージョンルート:トムラウシ川源流地獄谷→ワセダ沢雪渓を行く

日程】:【2007年7月13日(日)~17日(火)
ルート】:【トムラウシ温泉キャンプ場→カムイサンケ林道→トムラウシ川源流→地獄谷→ワセダ沢→トムラウシ山→同往復】
メンバ】:L:Uru SL:Yosi Aoya Umika Sima Taka Kane
行程
  【7月13日金(曇)
   函館(7:00)→苫小牧→日高→日勝峠→トムラウシ温泉キャンプ場c690(16:00)】
  【14日土(曇)
   c690(6:30)→カムイサンケナイ林道→林道決壊箇所c930N43:30:05.3E142:53:22.0(7:20-45)歩行開始→林道終点c810(9:15-9:35
   c810トムラウシ川入渓(9:35)→地獄谷c1075(16:00)】
  【15日日(濃霧)
   往 地獄谷c1075(5:15)→ワセダ沢c1010(5:20)→ヒサゴ沼沢分岐c1210(7:15)→c1500(9:10)→c1800(10:15)→北沼c2005(11:30)→トムラウシ山c2141(12:15
   復 トムラウシ山c2141(13:05)→c1800(14:30)→c1500(15:00)→c1200(17:00)→c1200(17:00)→地獄谷c1075(18:30)】
  【16日月(曇) 地獄谷c1075(9:00)→出渓c810(15:00)→デポ車c930(17:00)→トムラウシ温泉東大雪荘(18:.30)→函館16日(04:00)】

00三角点】:点名 富良牛山 等級 一等三角点 地形図 旭川-旭岳  WGS84N 43°31′37.5979 E 142°50′55.6436  標高 2140.99 m 13系(X) -51582.446 m (Y) -113263.774 m 所在地 新得町(196林班イ小班)点の記図 設置M15年8月8日 観測2003年8月5日 AY00043S:J1UpXp】

コースの地質十勝川源流部は、東部(ニペソツ山側)を基盤岩である旧日高古生層群、そして西部(トムラウシ山側)を洪積世の火山岩類によって構成される。ヌプントムラウシ川あたりを下刻してほぼ東西に2分されているが、トムラウシ川の標高650m以下は激しい完全な函地形を呈している。入渓地点の810mあたりは歩行も不可能な完全な函の上流になっていて、概して比高5m程度の段丘が発達した遡行に取り立てて困難はない。トムラウシ温泉から入渓地までのヌプンサンケナイ林道は、石英粗面岩質熔結凝灰岩が造る平坦面をもった台地状の山地を縫って走っていた。この熔結凝灰岩は、トムラウシ川遡行時に地獄谷下流にある通称”乙女の壁”に明色となって現れていた。”乙女の壁”とワセダ沢分岐及び地獄谷は断層線上にみごとに並んでいた。ワセダ沢遡行は標高をなかなか稼げない熔結凝灰岩域を行く。1300m付近で安山岩質の溶岩帯に入り滝が現れ傾斜を増し、1650m付近からさらに傾斜を増すこととなってグングン標高を上げることになる。山頂は角閃石両輝石安山岩が累重して岩頭の印象であった。山頂の地形は、全体に南西に開いた馬蹄形をなしていた。その西南端が最高峰で、東のピークは無名峰で東トムラとでも呼ぼうか。地獄谷から見とおせる岩頭がこの東トムラであった。
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【山行記録】 函館→トムラウシ野営場(泊)→カムイサンケナイ林道→トムラウシ川入渓→地獄谷(泊)→ワセダ(早稲田)沢→北沼→トムラウシ山(2140.99m)→往復→地獄谷(泊)→東大雪荘→函館. 
 トムラウシ温泉キャンプ場からカムイサンケ林道を使ってトムラウシ川に入渓する手はずだった。しかし、途中、林道が沢水で決壊していた。急遽駐車場をつくり(地点:Co930N43:30:05.3E142:53:22.0)車をデポすることになった。ここから入渓地点まで1時間30分の間、思わぬ林道歩きを強いられた。林道の終点が車回しの広場になっていた。そこが入渓地点だった。繰り返す渡渉、数回の段丘上への高巻きはほとんど問題はない。この度は、通常の水量のトムラウシ川ではあったが、渡渉のいくつかは腰までくる深さで、棒を上流側に立てて身体が浮くの抑えながら、蟹の横ばい状態で渡渉した。乙女の岩からほどなくワセダ沢分岐に着いた。ここで今日初めてのナメが現れ、硫化水素の臭いがしてきた。川水は暖かく感じられ厳しかった遡行だったので心も温かくなった。湯煙が上流側に見えた。今日のキャンプ地の地獄谷だ。段丘上のキャンプサイトは、右岸が地熱で暖かい。左岸はワラビ草原でエアーマット不要であり、双方とも土木工事無しでOKだった。


 ワセダ沢は、かくれ沢分岐、ヒサゴ沼沢分岐を右に見て遡行を続けて進んだ。この間、河床にはオオバヤナギの太い倒木(流木)を乗り越えるたびに遡行スピードを遅くした。ヒサゴ沼沢分岐からのワセダ沢は苔生して穏やかな美渓だった。1300mに傾斜変換点があり節理が明瞭な滝が二つ出てきた。最初の滝は慎重に直登できたが、二つ目は踏み跡のある高巻きを強いられた。1400mあたりで雪渓がでてきて源頭部の北沼直下のコルまでその雪渓は連続した。沢頭は流石に急峻な雪渓で、雪渓の左側の潅木帯との縁がやや緩やかであるから、そのルートをとるのが安全であろう。間違いなく北沼のコルに出る。もし雪渓の右側ルートを選ぶとすれば、北沼の北のポコに出るのだが、雪渓の縁は急峻な岩礫地帯で、かなり慎重な雪渓登りと岩場の登攀を強いられるルートだ。やはり右側はやや不利である。


 標高2000mで夏道に飛び出し、北沼が目の前だった。棚田状のみごとな凍結融解による階段状地形が整然と並んで美しかった。トムラウシ山へのアプローチは北側から尾根を伝って辿った。頂上から続く馬蹄形の岩稜が確かめられたが、峰々は1360°雲海の下だった。僅かに、北方に白雲岳の頂が見えただけだった。頂上で一時間も遊んだ。
 帰路は北沼のコルから雪渓を下った。源頭がかなり急なため雪渓の南側の縁を、植生を頼りながら慎重に降った。遡行で高巻きした滝を降るのを避けて、ワセダ沢とヒサゴ沼沢の間の尾根を降ってヒサゴ沼沢に入った。流木・倒木に難儀させられ、スピードがかなり遅くなったが、日没前に地獄谷温泉キャンプ場に着いた。

 キャンプをたたんで、トムラウシ川下降、林道の登り歩行、夕暮れの林道走行、そして夕刻にトムラウシ温泉東大雪荘に着いた。


 ↓トムラウシ温泉の噴泉塔:火成岩のトムラウシ山の基盤岩は旧古生層群になっていて基盤岩の含炭酸水素類のガスが結晶となって形成されたのであろうか。



Taoこと高橋武夫紀