2019年6月9日日曜日

昆布岳(豊浦)


6月9日、オホーツクの寒気団の影響で、今日は噴火湾からの冷気で暑さがないから登山には恵まれた日になりました。豊浦町の国道37号線から、上泉(昆布岳の登山口駐車場)へ向かって、道道702(水車公園)→進んで道道914に入りました。

1998年3月8日、某玉氏と某田氏と三人で豊浦の道の駅で朝を迎えたことを思い出しました。国道37号線から道道702→道道802、そして道道32…経由でパンケ幌内川を目指したのでした。未踏の幌内山狙いとは言え、何とも長い道のりだったと今は思いだされます。一方昆布岳は、ニセコ町の国道5号線から除雪された農道を使わせてもらって残雪期に登られていました。

昆布岳豊浦コース(夏道・一般コース・一等三角点)は、僕ははじめて登る登山道になりました。夏道はわりと新しいのではないだろうか。知人の某條氏は「最初にこの山に登ったのは17年前(1985年)の5月である。登山道(いつ開削されたのかは不明)がまだ開削されていない当時…(ニセコ町の名無し川遡行)。」と記しています。夏道・一般コースはいつできたか正確には分からないが、そんなに古くはないと思われます。より新しい(1985年以降)ことは確かです(僕が夏道・一般コースを今まで登っていないのだから(笑)。

昆布岳小花井ルート(積雪期!)は、ニセコ町国道5号線宮田からルベシベ川に沿って除雪道路を利用していました。十六号川の右岸、十七号川の左岸の尾根に出ると、昆布岳から北へ伸びる溶岩台地上の緩やかな幅広い尾根にとりつきます。歩くスキーであっても堅雪のシーズンであれば十分山頂直下まで行けました。山頂直下から東尾根に回り込んで南尾根にでれます。この度の夏道・一般コースから、東尾根を見とおせて、回り込みルートをしっかり確かることができました。残雪期にのんびりと歩けるいいルートは今も変わりはないようでした。

登山路は、山頂までダケカンバの林が続いていました。標高700mくらいまではほとんど二次林でした。山頂までは原生的なダケカンバ林ですが、900m以上は亜高山帯低木林でした。山頂に少しハイマツ低木林が広がっていました。二次林が何故これほど広大な広がりなのでしょうか?、その森の来歴を知りたいと思いました。今日もまた「山の知識をおぼえながら、良い山と、よい友と、よりすぐれた技と・・・」良き山行でした。

◆登山路に見たクロツリバナ(Euonymus tricarpus ダケカンバ帯の識別種)::メガネ岩のチョット手前で登山路の東側に高さが5m程度の群叢になって生育していました。

◆ 登山路に見た、開花中のエゾワサビ群落が道の脇に長く続いていた?昆布岳のCardamine(yezoensis エゾワサビ:頭大,側葉1~2,茎這う)の仲間の学名と和名の変遷とこの類の愛好家の混乱原因は何故だろうか!

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原色日本植物図鑑1961北村     日本植物誌1965大井
 yezoensis エゾワサビ(アイヌワサビ)    yezoensis エゾワサビ(アイヌワサビ)
 ー ー                ー ー
 flexuosa タネツケバナ        flexuosa タネツケバナ
 scutata オオバタネツケバナ     scutata ヤマタネツケバナ

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 日本の野生植物1982北川      新版北海道に花1985梅沢
 yezoensis エゾワサビ(アイヌワサビ)    fauriei エゾワサビ
 ー ー                yezoensis アイヌワサビ
 flexuosa タネツケバナ        flexuosa タネツケバナ
 regeliana オオバタネツケバナ    scutata ヤマタネツケバナ

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 新北海道の花2007梅沢
 fauriei エゾワサビ
 yezoensis アイヌワサビ
 scutata タネツケバナ
 regeliana オオバタネツケバナ

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 北海道の草花2018梅沢
 yezoensis エゾワサビ     頭大,側葉1~2,茎這う
 valida  アイヌワサビ     頂小葉=側小葉
 occulta  タネツケバナ     頂小葉少し>側小葉
 regeliana オオバタネツケバナ 頂大、側葉1~4

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◆昆布岳のメガネ岩::5合目、標高点697m先の右手に突然アーチ状の岩稜が現れました。一瞬、鉄平石で造られた石積の巨大な塀にも見えました。板状節理の発達が、岩角地の乾燥、貧栄養に自生する類のミヤマオダマキなどの植物たちが整然として並んでいました。(石井正之氏によると「水平の不連続面、直行する板状節理の走向・方位はN20°E70°SE」)
 溶岩台地状~山麓緩斜面状の緩やかな尾根地形に岩稜のアーチに見えました。昆布岳のメガネ岩はアーチ状の部分が上に凸状に膨らんでいる様子です。いわゆるアーチ橋の原理が働いているのだといいます。上に凸したアーチ状の構造がメガネ岩を崩れ落ちにくくしているのでしょう。

 昆布岳両輝石安山岩の年代は280万年前とされています。その火山活動は、新第3紀鮮新世の終わりで、第4紀更新世が始まる約258万年前よりチョット前になります。
 登山路中の岩石の露頭は、メガネ岩の板状の節理、9合目のロープが張られた尾根越に露出する柱状の節理、山頂のハイマツ群落下は比較的層の厚い板状の節理に見える3カ所で、路頭は少ないようです。メガネ岩の節理、尾根越えの節理、山頂の節理の順に新鮮な岩石に見えました。噴出年代が同じならば、岩石面の違いは何によるのでしょうか?


つづく(Tao)