2019年8月25日日曜日

松倉川 (ミズノ沢分岐入渓)


松倉川(ミズノ沢林道入り口駐車):ミズノ沢分岐で入渓(Co.305mスタート)→<本流遡行2時間30分>→エスケープルート(Co.430mを終点とする)→<2時間30分>→同渓を入渓地点へ戻る。沢登りに非ずゆっくリズムで沢歩きを楽しむ予定で出かけた。


・ 久しぶりの好天予報でおもわず、上湯の川を遅い時刻の9時に発った。

・ 松倉川林道を車で1時間ほどかけてミズノ沢林道の看板のある駐車場に着いた。

・ 入渓地点は往時の林道及び木橋の面影は全くなくなっていた。しかし、ホーロー引きであろうかミズノ沢林道の黄色い案内板はやぶの中に立って目立っていた。

 ・ 林道の跡形もなくなってはいたが、駐車場広場といっしょに旧林道路面に沿って歩道らしきい幅を確保して刈払いされていた。森林管理かまたは沢愛好家の計らいであろうか。

 ・ 松倉川へ流れ出る若き頃に遡行した懐かしいミズノ沢を左に見ながら、藪漕ぎもほとんど無し入渓することができた。

 ・ 入渓地点は、往時は木橋が流れが止まったところに溜まった泥床へ降りる不快さがあったが、今日は苔むす清き渓流へすぐ入ることができた。

・ 一昨日からの強い雨があって流れは谷に溢れていた。雷もなっていたから、袴腰岳山域はかなりの雨量だったことも考えららる。降雨後丸24時間経過していたから、川床もしっかり見えて、ほぼ清流には戻っていた。

・ 入渓直後から小滝、泡立つ滝つぼ、階段状の安山岩質岩石の節理は手掛かり良くて暑ければシャワークライムを楽しむところだろうか。

・ 往時の記録は、ミズノ沢分岐で入渓(Co.305mスタート)→(本流を遡行
2時間)→エスケープルート(Co.430m終点)→(2時間)→同渓を入渓地点へ戻る。


: 入渓後すぐの小滝。安山岩質の節理がまるで階段状で遡行スタートには心地よい流れだ。暑ければシャワークライミングといっては遊べる滝だ。



: 沸き立つ水量。一昨日まで強い雨があった。袴腰岳山域では雷雨があったようで水量の多さはその影響と思われる。ジャンプ滝を思わせるようだった。通常は左岸を容易に通過できるのだが…・

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・・ ・ 今日 久しぶりに晴れたので、誘いがあって「松倉川(ミズノ沢分岐入渓→同渓復路)」に行ってきた。

2019年8月18日日曜日

尾札部川(’19)

尾札部川の河口からの遡行は6~7kmほどで源頭へ至ります。蛾眉野との分水嶺にですがそこは標高の低い稜線(毛無山付近で標高500m)になっています。集水面積も約10平方mと狭い範囲にあります。この度は二股の下流にある大滝を往復する沢歩きで、標高差はほとんどありません。

・ 下図は入渓地と行動ストップの大滝の付近の位置図(地理院地図)です。 
凡例1:緯線(横点鎖線)間隔は5秒刻みです。緯線間隔は約155mです。駐車場から行動ストップまでの距離は4km。標高はスタート地点で30m~行動ストップ地点では60m。
凡例2:赤実線はアプローチ歩道。赤ピンは入渓地と行動ストップ地点を示します。
凡例3:下図には針葉樹マークは7個あります。広葉樹マークは7個です。
針葉樹林は沢の両岸に広がっていることが分かります。(遡行中は落葉広葉樹の天然林でした。針葉樹林はほとんど見えません。このわけは土砂流出に配慮した伐採が行われたからと思われます。この件は、下に少し記述しました。)



・ 入渓地に自生するカバノキ科のアカシデ(川沿いの急傾斜地)。松前半島から噴火湾側~太平洋を北上しているようです。芽出しや紅葉が美しい樹種です。
・ 入渓ポイントへのアプローチ路は、スギや下図のトドマツ植林地の林が続いていた。

・ トドマツ植林地。
遡行中はスギやカラマツ・トドマツなどの針葉樹林は目に入らないけれど、沢身の両斜面に向かって目を凝らすと、狭い幅の天然林の向こうの斜面には植林地が広がっているようでした。海抜高が低位にあるし、地形図を見るとその地形は緩斜面が広がっているようでした。土地生産力は高いのだろうと思われます。したがって天然林を伐採し効率の良い針葉樹の植林地に替える、つまり林種を替える施業方法だろうと考えられます。しかしながら他地域と異なるのは、海産物の生産力がかなり高いと言われる噴火湾の漁場保全のために、土砂流出を恐れて、流水域近隣の林は植林地に改変されず天然林が維持されたのでなないか!・・・そうすると、美景の沢を遡行できるのはそのことになります。美景の保全はありがたいことです。

・ 入渓地の河床の様子:クサギも開花中で数株が紅白の花をつけて目立っていた。河床の凝灰岩や軟質の頁岩が見えるが、大いに角礫っぽい席礫が多く、円礫側の石はほとんど見えなかった。数日前の雷雨に、河岸の崖が崩れ、流されてきた岩礫の堆積であろうか!


・ ヤグルマソウ(Saxifragaceae):西南部が北限とされている。河畔の肥沃な岩礫地に沢山自生していた。本州要素は松前半島に色濃く分布していることを経験則で承知している。一方亀田半島はどうだろうか?一部の種だけはそうであろうと、亀田半島を歩くことが少ない僕はかってにそう考えていた。思い違いであろうか。最近亀田半島でその他幾つかを目にするようになってきた。               カリガネソウなど



・ やや緑色っぽい凝灰岩の露頭。どんどん河床に落石している様子に見えた。河床へ供給していた岩礫のだったのか!


・ 緑色の凝灰岩:グリーンタフか。緑色の河床の何故か滑らない。靴底をしっかりグリップしてくれる岩だった。そして目に心地よい緑色だった。大水の時は、頁岩などの石礫がゴロンゴロン流されて、美しいい緑色凝灰岩の河床は広がることになる。そうでないと、黄褐色の石礫で河床はほとんどおおわれてしまうだろう。



・ 黒い溶岩っぽい岩は何か! 河床を覆うように、時に黒に、時に再結晶し変質した白い細線も見えた。



・ 溶岩っぽいこれは溶岩の”元気な子”(?)か? なにやら流水に磨かれて、随分と丸みを帯びていた。



・ 淵に迫っている岩も。(黒っぽい丸く磨かれた岩石を岩にぶつけて破壊したところ堆積岩(黒っぽい頁岩:下の図)だった。)


・ 砕いたみどりっぽい岩(接写)

・ 砕くたら二つの分かれた黒っぽい円岩


・ 砕くたら二つの分かれた黒っぽい円岩の片割れ。右に並ぶのは汐首岬のジュラ紀硬質頁岩。

・ 岩場を形成するみどりっぽい岩を叩き落した。

・ (その接写)


・ 尾札部川のルート周辺の地質調査5万図をみてみます。


・ 行動中止にした大滝に至りました。少し泳ぎを入れれば、短く簡単なロープフィックスで左岸の縁を狙えそうでした。フィックスもブルージックもハーケンの練習にも左岸はいいようです。堆積岩なのでビギナーでも何とかなと思いました。








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◇入渓地点co25m45m=川汲層の凝灰岩<形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: デイサイト・流紋岩 溶岩・火砕岩>

・デイサイト
 デイサイト英語: dacite)は、火成岩の一種。成岩花崗閃緑岩に対応する。過去には「石英安山岩」と呼ばれていたが、成分的にデイサイトであっても石英結晶を含まないものもあり、また現在では山岩よりも流紋岩に近いという考え方が主流であることから、「石英安山岩」の名称は使われなくなった。
火山岩は岩石全体の成分(特にSiO2の比率)で分類され、デイサイトはSiO263 - 70%アルカリ成分の少ないもの。通常は斑状組織を持つ。色は白っぽいことが多いが、噴出条件や結晶度などにより多様である。
斑晶および石基として、有色鉱物である黒雲母角閃石輝石無色鉱物である斜長石石英等を含む。

・流紋岩 
 流紋岩(りゅうもんがん、英語: rhyolite)は、火山岩の一種。花崗岩に対応する成分の火山岩である。
「流紋岩」の名称は、マグマの流動時に形成される斑晶の配列などによる流れ模様(流理構造)がしばしば見られることによる。以前は、流理構造の見られないものを「石英粗面岩(せきえいそめんがん、liparite)」と呼んでいたが、現在では流紋岩に統一され、石英粗面岩の名称は用いられない。
 火山岩は岩石全体の成分(特にSiO2の比率)で分類され、流紋岩はSiO270%以上のもの。通常は斑状組織を持つ。色は白っぽいことが多いが、噴出条件や結晶度などにより多様である(黒い流紋岩もあるので色だけでは判断できない)。
 斑晶および石基として、無色鉱物である石英長石(カリ長石・斜長石)、有色鉱物である黒雲母角閃石(まれに輝石)等を含む。
流紋岩とデイサイトの中間的な性質の火山岩を流紋デイサイトrhyodacite)と呼ぶことがある。

・火山砕屑岩
【岩>64mm<64~2><2mm 】(火山角礫岩>64 凝灰角礫>64)(火山礫凝灰岩<64~2>)(凝灰岩>2㎜)





co45mco100m二股~左股全域=木直層の凝灰岩<形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: デイサイト・流紋岩 貫入岩>

co100m二股付近横断=安山岩質プロピライと石英斑岩<二股分岐co95m~coo105m間=形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: 安山岩・玄武岩質安山岩 貫入岩>

◇二股から右股=石英安山岩質プロピライト<右股co105mから上流=形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 後期ランギアン期〜トートニアン期 岩石: デイサイト・流紋岩 貫入岩>

◇右股co220mまで河床に三か所介在=汐泊川層の硬質頁岩 頁岩互層<形成時代: 新生代 新第三紀 中新世 バーディガリアン期〜前期ランギアン期前期 岩石: 海成層 砂岩泥岩互層>  参照:地質ナビ【東海と尾札部】
<64><2mm><64>

2019年8月4日日曜日

袴腰岳(赤川コース)



袴腰岳へ行ってきましました。

・ 持参した1960年代の「5万地形図」は、往時のルートと所要時間がかすれながらなんとか判読できました。赤川のバス停終点で下車。中野ダム経由です。林道は現在の「無人雨量観測所」が終点でした。林道終点に作業用の小屋もありました。

・ かなり古くから赤川コース(赤川~袴腰岳~横津岳~折戸川)の山道はあったようです。1968年頃、廃道同然になっていたことから、現在の山道がつくられました。函館市役所の山岳会が中心になって新たに整備されたようです。

・ 林道の延長に伴い、Co560m辺りに第二登山口ができました。「無人雨量観測所」の第一登山口からのルートは、ヤチダモーミズバショウ群落や豊かな森林の中を歩ける魅力はみんなの認めるところでした。

・ 第二登山口から入る登山者は少数者のままで経過していました。第一登山口から第二登山口まで、林道を車で±20分、登山道を徒歩で±20分程度で、所要時間が同じなら「歩くべし」が登山者の態度でした。

・ 山岳会による歩道整備は道庁の森林管理に引き継がれ、「一級国道」と呼ばれるほどの立派な歩道が継続管理されていました。

・ この度の登山口の選択は第二登山口でした。第一登山口からの歩道は草に覆われているとの情報があったからでした。

・ 第二登山口からは、相変わらず心地よい登山道が魅力的な森林の中を通じていました。刈払いは生態的にも心得た整備になっていました。

・ トドマツ植林地から入ります。同植林地の中にエゾマツが点生しています。森の来歴は=【往時の登山記録を辿ると「エゾマツ植林帯を抜け・・・」と書いていることから、ブナ原生林の伐採→エゾマツの植林→成績が悪く植え直しを強いられ→新たにトドマツを植林・・・】ではなかろうか。エゾマツがトドマツ植林の中に点在している訳と考えています。

・ 古くは「奥の平」と呼ばれる広大な箇所はダケカンバ一斉林(実はダケカンバ二次林)。

・ 1分レクチャーを三回やりました。一回目「夫婦ブナ」の成因について。二回目は「ダケカンバの同定」について。三回目は「原生的林と二次林」について。でした。

 ◆Lecture Word:: 一回目「夫婦ブナ」=ぶな平、奥の平、ブナ美林、渡島半島のブナ林の自然分布。二回目「ダケカンバの同定」=一本ダケ、耐凍度、3年生枝、蝋質樹皮、脱皮、因幡の白兎、亜寒帯、シラカンバ。三回目「原生的林と二次林」=ヨブスマソウ、ウド、ドサンコ、樹齢、直径、一生林。

・ 前袴腰岳直下のトラバース路前Co980m:長卵形で葉先丸く鋸歯無しの葉の蕾先が微紅色のミヤマホツツジ。

・ ナナカマドの一部葉黄変:ソチこちの羽状複葉単位で(活力のない)黄変が見られた。高温ストレスか?

・ 市街地は30℃超だったが、大陸性高気圧で乾燥したそよ風があって山頂は心地よかった。

・・・工事中・ 

↓・第二登山口:トドマツ植林が、奥の平まで続いていた。



↓・登山口トドマツ林の内部:河岸段丘上で土地生産力の高い土壌と思われます。



↓・エゾマツ:ブナ原生林の伐採→エゾマツの植林→成績が悪く植え直しを強いられ→新たにトドマツを植林・・・】ではなかろうか。エゾマツがトドマツ植林の中に点在している訳と考えています。



↓・同上:エゾマツの点生状況です。



↓・同上です。暖急崖の急斜面を上がったところです。第一の平です。



↓・第一の峠です。第一トドマツ植林を終点に狭いながら広葉樹の峠を越えます。





↓・列状に伐採されたトドマツ植林です。林床はクマイザサです。





↓・3m幅に刈り払われた一級歩道です。目の前のトドマツ植林を過ぎると奥の平に入ります。



↓・奥の平に入ると直ぐに、ダケカンバの幼木が幅25m、長さ35mの矩形を占有していました。牧舎跡(ドサンコ)です。20年前には建屋の骨組みが残っていました。林床はクマイザサです。大きなヨブスマソウも生えています。


↓・ブナの暴れ木です。周辺のブナ美林が伐採されましたが、ブナ孤立木として残ったのは、製品に向かない暴れ木だったので伐られなかったからでしょう。


↓・奥の平の奥の方で右に「夫婦ブナ」を見ながら通過しました(1分レクチャー)。不採算で伐り残されたブナ。


↓・Co765m辺りに立てられた道立自然公園区域指示版(スノーモービル愛好家の聖地のような横津山塊だったが、近年指定された自然公園域が、その聖地を取り上げた)。


↓・公園区域指示版の奥を左折する登山道:奥の平はここで終わり(三角山麓)、いよいよ急登の三角山頂へ。


↓・ササの大斜面が続く三角山南斜面(みなが感嘆する一本ダケ)。まるでダウンヒル愛好家が開いたような広々として開放的な登山道だった。


↓・三角山から:かすむ函館山と庄司山:ここまでがクマイザサ群


↓・三角山から雁皮山:ミヤマヤナギ、チシマザクラなどの低木が混じる:チシマザサが混じる。


↓・三角山から雁皮山:ダケカンバとチシマザクラの間から。


↓・三角山のブナ林:889mの頂だ。


↓・Co920mの幅広い尾根に設置された案内板。亜高山性低木林域ももう間近だ。


↓・一級の維持修理施工の登山道:上の端から急斜面のトラバースに入る。


↓・いよいよ急な沢に向かってNoトラバース路。全路線中でここだけは何故か刈足が高くチシマザサの根元が五月蝿い。


↓・厄介なトラバースを過ぎて、南袴腰へ向かう急傾斜の沢地形を進む。ササの根が五月蝿い。チシマザサとクマイザサの混成地。ここからはしっかりダケカンバの低木林域だ。


↓・乾燥した西風に満足する南袴腰に立つ。


↓・袴腰岳頂から左に見えるスカイラインは、冬季の登攀に使う袴腰岳西斜面だ。冬季に手前の笹生地に入ると転げ落ちそうでとてもビビる。


↓・前袴との鞍部の様子:亜高山帯低木林(ダケカンバ・ミヤマハンノキーチシマザサ群落)に入れておこう。


↓・頂の様子:学芸大学設置も北海道設置も破損が進んでいる。冬季は無論雪堤になっている。


↓・頂の10m南側:ダケカンバ・ナナマカドーミヤマヤナギ・チシマザサ群落:ナナカマドは気象ストレスで葉っぱは赤く。

↓End




















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