2010年4月18日日曜日

アカシデ

・乙部町の旧国有林野の「竹森航行目標保安林」に誘われて同行した。登山口まで舗装された林道が整備してあった。ミズナラの雑木林から、木製階段を少し登ると乾いた尾根歩道に至る。


・尾根に沿ってよく管理された歩道を歩く。丈の低いクマイザサの林床にブナも混じるミズナラ主の雑木林は、アカシデも混成して美しい林だった。ヤマザクラもコブシも下にはガマズミもあって、なかなかの賑わいである。


・雑木林の尾根ではあるが、伐り残しのブナが春雨にぬれて、地衣類が一層存在を主張するパステルカラーであった。興味尽きない尾根道をゆったり進む。やはり日本海側のブナ林の木肌は格別だ。林内気象がそうさせるのだと思われるが、噴火湾側のそれと趣はかなり相違する。<ブナφ26cmとφ18cm>


・<ブナ>萌芽するブナの小枝。芽は小さく膨らんではいるがまだ固い。残雪も見えたから、今年の春はかなり遅い。

・尾根道を進むほどブナの混交割合は高まってきた。隣接してアカシデ(カバノキ科シデ属)が続いた。一見ブナの木肌と見間違うが、アカシデ特有の筋トレした腕っ節のように、縦方向に筋肉状の隆々と盛り上がる木肌は特徴的だ。

・チャシブゴケか?モジゴケか?豊かな色合いだ。空中湿度のあんばいが、ことのほか良いのであろうか。美しい。

木肌を這い降りる雨水はブナ特有のものと取りざたされている。葉の形、枝の角度、樹冠の配置などの樹形が雨水を根元にあつける形態だという。はたしてそうか。他の樹種は樹冠で補足した雨水は根元に集めないのであろうか。すべすべする木肌が、そう見せてくれるだけなのであろうか。
モジゴケSP 斑紋状地衣類の複数の種が樹幹上に生育していた。美しく木肌を飾る斑紋は地衣類。下の大きな白い斑紋には染色体状の黒い筋が見える。


チャシブゴケ類 都市環境や太平洋側に森林など空中湿度の低い森では目立たない地衣類だ。


・竹森大権現の鳥居・竹森保健環境保全林などの表示板のあるあたりがお休み所となっているのであろう。かまどや鉄板などが積まれていた。後方の小高い個所が山頂だ。前方に、左側にと歩道がおおく巡らされていた。

・なるほど小高さは目標保安林にふさわしく、えっさえっさと登ると間もなく三角点のある山頂に至る。ここもササ丈低くて見通しよく、気分のいい山道だった。ブナの樹冠は殆んどの冬芽は花芽のようで大きく膨らんでいた。結実がうまくいけば今年は豊作だろう。





・頂にある三角点 点名「竹森」192.8mなるほど海が見えた。・漁業の目標(山立て)として利用されていた。大正13年5月に航行目標保安林に指定。道内にこの種の保安林は三か所あるようだ。


・カタクリがほぼ満開であろう。小雨に濡れて花被片が垂れているが登山口から頂まで全山カタクリが林床を飾っていた。近年この開花を愛でに人々が訪ねる山になったそうな。

タマゴケ類 尾根の散策路沿いにブナの老木があった。下方から幹分かれの大木の下、半日陰の明るい道端に数か所塊になって生育していた。