2013年2月17日日曜日

帆越山~太田山~相泊山

・ 2013年2月16日(土曜日)標記の三山に登りました。
・ 駐車場発8:00ー(1:30)ー帆越山9:30ー(1:40)-太田山11:10ー(0:50)-相泊山12:00ー(2:20)-駐車場着14:20。

・ メンバ yuki@埼玉熊谷。 札幌「地図がガイドの山歩き」チームのKo玉 チロロ2 チロロ3 Marbo もこ もこ夫 saijiyo。 函館からsakag Tao。 10名のおおきなグループになりました。

・ 天気:曇りのち晴れ。<一昨日から今冬一番の雷伴う猛吹雪。視界不良で自動車道不通あり。せたなで23.6m/瞬間風速、今金で降雪28cm/日、テックイランドの管理人は「駐車場で50cm/日」と目視を語っていた。>

・ 各々の頂上の①岩体と②標高は、▲帆越山(花崗岩質岩体、4等点名:帆越山321.2m)、 ▲太田山(古期堆積岩類、485m)、 ▲相泊山(中新世始めの堆積岩、3等点名:野田布531.6m)。 

前泊は「道の駅テックイランド大成」でしたが、終日猛吹雪のために除雪は生活域優先にされて、道の駅の除雪は明日以降に後回しにされるようです。メンバ所有の大型オフロード車で、がんばって除雪ならぬ圧雪で駐車スペースを確保しました。

翌朝帆越トンネル入り口に駐車しそこを登山口としました。「帆越山~太田山~相泊山」と回り、復路は相泊山南西尾根を入山地点へ向かって下りました。太田地区は1960年代の中ごろまで道路が通じていなかったので、陸の孤島「太田」と呼ばれることもありました。

自動車用道路が通じていなかった1965年に、数泊覚悟で太田地区を訪れたことがあります。添泊岬あたりから歩きだしました。磯浜から相泊川へ入り、帆越山と太田山の間にある鞍部(cnt210m)を越え「太田神社拝殿」先の磯浜へ下りました。

陸の孤島と呼ばれたのは、帆越岬あたりに断崖海岸があって、けもの道(歩ける箇所)すらできていなかったからなのでしょうか。磯には漬物石に相応しいよく磨かれた楕円状の石(花崗閃緑岩)が累々と重なっていました。当時は選り取り見取りの優れた漬物石でした。

断崖海岸の花崗岩類特有の節理の露岩上への道路工事中が印象深かったことも記憶に残っています。露岩上に造られた道路はその後不通になったようで、私が相泊川河口から昔日下り立った磯浜へは、今はトンネルが貫けていました。

露岩上の道路が如何して不通になったか?、詳細は私は分かりませんが、あの露岩にまた立ってみたくなりました。昔、私が鞍部を越えたルートには、今は立派な送電線とその管理道が通っていました(下図の書き込み黒鎖線)。

青緑色の実線(下図の書き込み)に囲まれた巾20mばかりのルートは財務省管理の「道路用地」と思われます(私が以前歩いたルートです)。周囲の森林は国有林が管理する土地です。「道路用地」を現今の地形図に落とすと、コンターに対してとても不自然な形状になりました。

何時の頃か私は分かりませんが、小縮尺の図上で「道路用地」が線引きされたものかも(?)とも思われます。このような「隠れた」道路用地は、桧山~後志の断崖海岸の背後の随所に存在しているようです。

↓0 黒鎖線は送電線です。青緑色の実線は、曰くありの道路用地です。 赤色矢印は(→)帰路の尾根ルートです。


↓1 帆越トンネル入り口付近(駐車場):シナノキ・ヤマグワ等の林は、海風の強さを彷彿とさせる樹形です。
 相泊川から登り始めました。送電線管理道を奥までつめてから斜面を登るか?
 はたまた早めに尾根に上がるか?、どちらを選ぶのかと思いながら歩いていました。
 Leaderの指示あって、早めに帆越山南尾根に向かって斜面を上がりました。たしかに相泊川のcnt60m付近に、崖記号がたくさん描かれていました。この崖を避ける判断だったのでしょうか。

↓2 帆越山南尾根から日本海側をうかがい見たところです。尾根の海側急斜面のブナの林です。
 海岸から最も近い距離にあるブナ林は何処にあるのだろうか?(知っておきたいが、未だ渡島半島日本海側の斜面探索をさぼっています)。
↓3 帆越山頂きです。すんなり頂きに至ることができました。
 やはり早めに沢を離れたのは正解でした。
↓4 帆越山と太田山の鞍部を過ぎてから、海に面した瘠せた稜線を進まざるをえません。
 危険を避けたいが、勇気ある者の後に続いて山岳霊場太田神社をのぞける瘠せ尾根に立てました。
 青緑色の網や鉄橋や垂直の鎖場など人工物が見えました。岩穴の本殿も、木々の間からかすかに見てとりました。

↓5 クライマーのOota氏(Mt.Onne)は、本殿の上は黄色っぽい岩だから人工登攀も無理かも?と言っていました。花崗岩類の接触により堆積岩が部分的に熱変成を受けた脆い岩なのかも・・・と思われました。ボロボロの粘板岩か?粉砕されたチャートか?


↓6 太田山から見下ろす帆越山です。
 花崗閃緑岩域の山の姿です:丸みを帯びた山頂部と谷壁が発達する山脚などの特徴的です。放物線を描いています。山の上の方が丸みを帯びて、山脚の方が急峻な斜面になっています。


↓7 太田山の頂きです。
 この直下の断崖岩屋に太田神社の本殿があります。あきれるほどの樹形をしたイタヤカエデが立っていました。日本海側の海岸直上の稜線だから、猛烈な海風によるものであろうか。


↓8 太田山から東側の展望です:
 相泊山そして帰路の南西稜が見えます。斜面にトドマツが密度高く自生しているのも確かめられました。


↓9 昨夜までの猛吹雪が木々を飾っていました。


↓10 相泊山から見た松倉山と ・標高点451のピークです。


↓11 相泊山から見たヌタップの・標高点451と 旧郡界嶺にある・二等点名雁毛山が見えました。

↓12 太田集落に流れる砥歌川上流の、左から・毛無山816 ・標高点731 ・三等点名毛無山Ⅱ741.9。


↓13 帰路、イタヤカエデに着生していたミヤマノキシノブです。オシャグジデンダもいました。
 植物写真家U氏に依頼のある「ノキシノブの探索」が気になっていたことを思い出してしまいました。


↓14 古丹川上流の風景です。
 本陣川、古丹川、相泊川上流はトドマツの混交歩合が非常に高いようです。
 「点生する」程度とはかなり異なる自生にしかたです。渡島半島では、この密度で生えている箇所は他にあまり例がなりません。
 狩場山塊のオコツナイ~フモンナイから海側のそれに次ぐものでした。


↓15 標高点471を滑り降りたブナ林の尾根です。
 この尾根の先の沢に下りる地形は如何になっているか?標高点471から相泊川河口に下りるには3ルートが検討されます。


↓16 尾根を終えて急斜面を沢に下りた。小さいが滝が繰り返していた。大雪があった後の積雪の助けられたから何とかクリアーできた。「リスクを軽減するためには容易に谷に下りるな!」(yuki談)の教えはここでも証明されたようなものだった。

・ 渡島半島の基盤岩(花崗岩類)が露出しているこの領域を「太櫓ドーム」と言い、東部には大きな「遊楽部ドーム」と呼ばれている領域がある。
 昨日登っ「北の鵜泊丸山から南の久遠の都」までが 太櫓ドーム域となっている。

・ 一般に花崗岩域の地形(山の姿)は、頭が上の放物線(y=-aX~2)を呈する形だ。
 「尾根は幅広く緩やかだが谷は壁状に急峻だ」と言われている。
 ここ相泊川もその例にもれることはなかった。

・ 「谷に下りるリスクを覚悟せよ」の山岳遭難事故防止訓は、地形・地質によらず忘れちゃいけないが、花崗岩類域は特に留意が必要になってくるのだろう。
 「ついつい沢に下ってしまう。何とかなるだろうと登り返すことをしない。」(羽根田治氏)
  *同行のyuki@埼玉氏の姿は、「教訓」を実践していた。深く記憶に残った。

・下の写真に写る谷壁の岩石:花崗岩類の方形節理がよく分かる。方形節理が、歩いた沢の中に所どころ顔を出していた。