2019年8月4日日曜日

袴腰岳(赤川コース)



袴腰岳へ行ってきましました。

・ 持参した1960年代の「5万地形図」は、往時のルートと所要時間がかすれながらなんとか判読できました。赤川のバス停終点で下車。中野ダム経由です。林道は現在の「無人雨量観測所」が終点でした。林道終点に作業用の小屋もありました。

・ かなり古くから赤川コース(赤川~袴腰岳~横津岳~折戸川)の山道はあったようです。1968年頃、廃道同然になっていたことから、現在の山道がつくられました。函館市役所の山岳会が中心になって新たに整備されたようです。

・ 林道の延長に伴い、Co560m辺りに第二登山口ができました。「無人雨量観測所」の第一登山口からのルートは、ヤチダモーミズバショウ群落や豊かな森林の中を歩ける魅力はみんなの認めるところでした。

・ 第二登山口から入る登山者は少数者のままで経過していました。第一登山口から第二登山口まで、林道を車で±20分、登山道を徒歩で±20分程度で、所要時間が同じなら「歩くべし」が登山者の態度でした。

・ 山岳会による歩道整備は道庁の森林管理に引き継がれ、「一級国道」と呼ばれるほどの立派な歩道が継続管理されていました。

・ この度の登山口の選択は第二登山口でした。第一登山口からの歩道は草に覆われているとの情報があったからでした。

・ 第二登山口からは、相変わらず心地よい登山道が魅力的な森林の中を通じていました。刈払いは生態的にも心得た整備になっていました。

・ トドマツ植林地から入ります。同植林地の中にエゾマツが点生しています。森の来歴は=【往時の登山記録を辿ると「エゾマツ植林帯を抜け・・・」と書いていることから、ブナ原生林の伐採→エゾマツの植林→成績が悪く植え直しを強いられ→新たにトドマツを植林・・・】ではなかろうか。エゾマツがトドマツ植林の中に点在している訳と考えています。

・ 古くは「奥の平」と呼ばれる広大な箇所はダケカンバ一斉林(実はダケカンバ二次林)。

・ 1分レクチャーを三回やりました。一回目「夫婦ブナ」の成因について。二回目は「ダケカンバの同定」について。三回目は「原生的林と二次林」について。でした。

 ◆Lecture Word:: 一回目「夫婦ブナ」=ぶな平、奥の平、ブナ美林、渡島半島のブナ林の自然分布。二回目「ダケカンバの同定」=一本ダケ、耐凍度、3年生枝、蝋質樹皮、脱皮、因幡の白兎、亜寒帯、シラカンバ。三回目「原生的林と二次林」=ヨブスマソウ、ウド、ドサンコ、樹齢、直径、一生林。

・ 前袴腰岳直下のトラバース路前Co980m:長卵形で葉先丸く鋸歯無しの葉の蕾先が微紅色のミヤマホツツジ。

・ ナナカマドの一部葉黄変:ソチこちの羽状複葉単位で(活力のない)黄変が見られた。高温ストレスか?

・ 市街地は30℃超だったが、大陸性高気圧で乾燥したそよ風があって山頂は心地よかった。

・・・工事中・ 

↓・第二登山口:トドマツ植林が、奥の平まで続いていた。



↓・登山口トドマツ林の内部:河岸段丘上で土地生産力の高い土壌と思われます。



↓・エゾマツ:ブナ原生林の伐採→エゾマツの植林→成績が悪く植え直しを強いられ→新たにトドマツを植林・・・】ではなかろうか。エゾマツがトドマツ植林の中に点在している訳と考えています。



↓・同上:エゾマツの点生状況です。



↓・同上です。暖急崖の急斜面を上がったところです。第一の平です。



↓・第一の峠です。第一トドマツ植林を終点に狭いながら広葉樹の峠を越えます。





↓・列状に伐採されたトドマツ植林です。林床はクマイザサです。





↓・3m幅に刈り払われた一級歩道です。目の前のトドマツ植林を過ぎると奥の平に入ります。



↓・奥の平に入ると直ぐに、ダケカンバの幼木が幅25m、長さ35mの矩形を占有していました。牧舎跡(ドサンコ)です。20年前には建屋の骨組みが残っていました。林床はクマイザサです。大きなヨブスマソウも生えています。


↓・ブナの暴れ木です。周辺のブナ美林が伐採されましたが、ブナ孤立木として残ったのは、製品に向かない暴れ木だったので伐られなかったからでしょう。


↓・奥の平の奥の方で右に「夫婦ブナ」を見ながら通過しました(1分レクチャー)。不採算で伐り残されたブナ。


↓・Co765m辺りに立てられた道立自然公園区域指示版(スノーモービル愛好家の聖地のような横津山塊だったが、近年指定された自然公園域が、その聖地を取り上げた)。


↓・公園区域指示版の奥を左折する登山道:奥の平はここで終わり(三角山麓)、いよいよ急登の三角山頂へ。


↓・ササの大斜面が続く三角山南斜面(みなが感嘆する一本ダケ)。まるでダウンヒル愛好家が開いたような広々として開放的な登山道だった。


↓・三角山から:かすむ函館山と庄司山:ここまでがクマイザサ群


↓・三角山から雁皮山:ミヤマヤナギ、チシマザクラなどの低木が混じる:チシマザサが混じる。


↓・三角山から雁皮山:ダケカンバとチシマザクラの間から。


↓・三角山のブナ林:889mの頂だ。


↓・Co920mの幅広い尾根に設置された案内板。亜高山性低木林域ももう間近だ。


↓・一級の維持修理施工の登山道:上の端から急斜面のトラバースに入る。


↓・いよいよ急な沢に向かってNoトラバース路。全路線中でここだけは何故か刈足が高くチシマザサの根元が五月蝿い。


↓・厄介なトラバースを過ぎて、南袴腰へ向かう急傾斜の沢地形を進む。ササの根が五月蝿い。チシマザサとクマイザサの混成地。ここからはしっかりダケカンバの低木林域だ。


↓・乾燥した西風に満足する南袴腰に立つ。


↓・袴腰岳頂から左に見えるスカイラインは、冬季の登攀に使う袴腰岳西斜面だ。冬季に手前の笹生地に入ると転げ落ちそうでとてもビビる。


↓・前袴との鞍部の様子:亜高山帯低木林(ダケカンバ・ミヤマハンノキーチシマザサ群落)に入れておこう。


↓・頂の様子:学芸大学設置も北海道設置も破損が進んでいる。冬季は無論雪堤になっている。


↓・頂の10m南側:ダケカンバ・ナナマカドーミヤマヤナギ・チシマザサ群落:ナナカマドは気象ストレスで葉っぱは赤く。

↓End




















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