2011年8月12日金曜日

「北海道 安全な登山」刊行される

◆山に登るようになったのは何故(?)と問われる。相当長い間、森の中をまんべんなく歩いてきたと思っている。職を離れる記念に森林インストラクターという資格認定を受けた。森林自然のことなど感じてきたことを、自分の言葉で多くを話したいと考えたからでもあった。実際に青少年らと話をしてみると、彼らは森も山も高山も沢も同義語と意識しているようであった。森とは「森林、自然、山岳、渓谷・・・」を含むものであった。これにしたがえば、一般市民に森林自然のことを話すとき、山や谷<土地生産力低い>を知らなくては片手落ちである。退職後に登山へ関心を高めた理由はその辺にある。
◆登山屋はそれぞれに流儀があって、考えるに、私の中では登山屋個々の流儀が混線して入り込んでいるようだ。版元から「安全な登山」の山書を受贈した。中を見て驚いた。たくさんの経験から導きだされた科学的提案が満載されている。例えばSun Set Line(日没)が提案され、北海道の登山の特徴的楽しみはテン場に着いてからの夕刻の過ごし方だという。釣りや山菜採りや興味の趣くまま過ごせる時間なのだという。 混線し沈澱していた流儀が、同書により方向性を持てるのがうれしい。土地生産力低い山や谷へ、関心がさらに高められそうだ。
◆北海道新聞社の本 新刊案内から引用(文)……低い気温、長い積雪期、ヒグマの生息地―。本州以南とは根本的に異なる北海道の山の特徴を紹介し、安全に登るためのノウハウを凝縮。地形図の読み方や気象データの利用方法など基礎的知識に加え、道内の「百名山」9峰の地形図・断面図付き解説も収録。2009年夏のトムラウシ山での大量遭難死のような痛ましい事故を繰り返さないためにも、北海道における登山をまるごと知る格好の一冊日下哉著 A5判 183頁 定価1,890
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◆北海道 安全な登山 目次 <目次詳細>
第1章 北海道の山と気象
第Ⅱ章 ヒグマの生息する大地 -注意したい北の動植物-
第Ⅲ章 登山環境 -歩道と水、トイレと山小屋-
第Ⅳ章 北海道にふさわしい山の準備と装備・用具
第V章 山岳行動のための準備 -知識と学習、計画-
第Ⅵ章 北海道の山々とその特徴 -百名山と札幌近郊の山々-
第Ⅶ章 山の歩き方・休み方,不時の対応
第Ⅷ章 北の山を楽しむ
あとがき 索引 主な参考文献

[コラム]・山の一日 ・カール氷河 ・観天望気と北の雲 ・雷から身を守る ・大雪山の初雪,初冠雪 ・雪崩 ・ヒグマに出合ったら ・アイヌ民族に学ぶ野生生物との共存 ・「合目」標識とは ・残雪・雪渓とスノーブリッジ ・北海道の山小屋,避難小屋の利用のしかた ・低体温症 ・ザックの背負い方とパッキングの仕方 ・食事と食料-燃料計画 ・飲料水の確保と携行量 ・北海道「ツアー登山」考 ・GPSの使い方 ・気象データの利用の仕方 ・高層天気図 ・山行計画書の作り方 ・アイヌ語地名と原自然 ・物理学からみた登山 ・方位磁針の限界性 ・美味な北のキノコ ・ナキウサギ ・北の火山