2010年12月6日月曜日

山の本(あの頃の山登り)

 2010.12.06(月)
あの頃の山登り―北海道の山と人―2002.12.20 著者/橋本 誠二 発行/茗渓堂
道南地域関連のエッセイや紀行文は昆布岳、遊楽部岳、狩場山、羊蹄山、大千軒岳とキリシタンなどと、本の全体からみるとページ数はわずかである。しかし、私には身近な山であり、経験に重ねるようにしてページをめくった。1918~1995を生きた方だから、私らとチョットではあるが時代が重なる。道南の山々の紀行文に出てくる事柄は私らの青年時代に相当しとても懐かしい。私らの時代の前の山登りのスタイルや心象、滋味あふれる人々の生活への眼差し等は知っておきたいことでとても興味深いものだった。何よりも、馴染みの「地質図福:1/5万」に名前をみてきた地質学者だ。地形の皺の隅々まで調査されてきた方だから、山を歩いて思いを巡らす紀行文やエッセイは研究者の生の声を聞く思いであり「あっそうか!そうだったのか!」とページをめくる楽しみも尽きない。もっと早く手に取りたかった本だった。森林や樹木の記述は、首肯したりそれは頷けないぞと思ったり、私的には嬉しい場面だ。山登りを続けたいばかりに北海道大学に入り日高に通いたいばかりに地質学の教室をたたいた方だという人のなりを、巻末の初出一覧を頼りに著者の足跡をもっと知りたいと思った。

あの頃の山登り―北海道の山と人―2002.12.20 著者/橋本 誠二 発行/茗渓堂

1918年1月19日,札幌に生まれる.
1930年4月,札幌第一中学校に入学,登山を始める.
1936年04月,北海道帝国大学予科入学.山岳部入部.
1941年12月,同大学理学部地質学鉱物学科卒業.日本山岳会入会.
1947年02月,同大学,予科教授.
1955年,日本山岳会,第三次マナスル登山隊,先遣隊
1957年04月,北海道大学理学部教授
1960年,アラスカ,メンデンホール氷河調査隊
1974年,秩父宮記念学術賞受賞(ヒマラヤ山地の地質研究)
1981年04月,北海道大学名誉教授,静修短期大学教授
1984年06月〜1990年5月,日本山岳会北海道支部長
1991年05月,勲二等瑞宝章授章
1992年;日本山岳会名誉会員
1995年06月05日,逝去