2012年4月21日土曜日

廃屋:伊勢鉢山

 今寒候期は雪がたくさん降りました<降雪深の合計465cm観測史上第二位・最深積雪91cmは同第一位>. おまけに遅くまで寒さが続いたからだろうか.近郊の連山は今日も春の光にまぶしく輝いていました.肋骨骨折後の身体ならしの第二弾は、鏡山に続いて伊勢鉢山でした. ラジオから「全道的に好天だから家の周りの片付けに良い日和です」と気象予報士の声が聞こえてきましたが、振り切るようにして 知人を誘って山に向かいました.

 昨年sakag氏と地辷り跡地を廻った時にここ伊勢鉢山を踏んでいます. 踏切を渡って釜谷駅裏に回り山側に向かって酪農家の趣ある廃屋前に駐車(後で思わぬ出会いが).せせらぎの小川に架かる橋を渡って、御宮野牧場内に新設された農道を進みました. 風格ある廃屋や赤松の防風林に囲まれた御宮野牧場は穏やかでいい雰囲気の風景でした.北海道殖産(旧前田家所有山林)が管理のスギ林に入ると、幅3mばかりの防火帯が伊勢鉢山へ向かっていました.カタクリの花芽が並んでいたりヤブサメの囀り(虫の音に近い音域)を耳にしたり、残雪終わりの森がいろいろ語りかけてきます.


 牧場そしてスギ林に3級・4級公共基準点の表示板がたくさん設置されていました.国土交通省北海道開発局函館建設部の設置したもので函館江差高規格道路関連の公共基準点のようです。これより山側2kmほどの山側に、同種の表示板を昨冬の地辷り廻り時に遭遇しました.こちらは(独)鉄建公団・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部北海道新幹線建設局でした.高速道路や新幹線で、この付近の人里に近い山林一帯は大きく変わっていくのでしょう.


 残雪を踏むことはあっても持参したワカンやスノーシューを出すことはありません.明るいアカシデも混じるミズナラ主の雑木林.標高を上げるにしたがいブナの密度が高くなり、ブナの二次林に移り変わりました.函館にソメイヨシノの開花日が来れば、7日後にここはブナの新緑の時.いわゆるブナ美人の季節です.新潟県松之山町のブナ美人に劣らない風景をここでは楽しめることでしょう.林床はイワナシ、アクシバ、ヤマツツジの密度も高くなってくるころほどなく山頂に至りました.頂では同行と木地挽山、駒ケ岳、七飯岳、咸臨丸の眠る木古内町サラキ岬を指呼しあいました.

 駐車した場所にある数棟の廃屋はみな現住人の宅敷地内でした.銀髪のご婦人が屋敷から出てきて「どなたの車かと朝から不審に思っていました」と話してきました.今盛りのクロッカス・芽出し始めのスイセン・囀るキビタキの庭で、事情あって酪農は廃業したが、今後どんな農業をすべきか思案中で、TPPの影響もあるから心配・・とも話してくれた.趣ある廃屋!程度で、深く見てとれなかったことが恥ずかしい思いで話を聞いていました.