2012年4月15日日曜日

鏡山(330.3m)<北斗市>

3月5日に肋骨を3本折ってから6週間経って、怪我後今日が初めての山歩きです.3月にSakagさんが記録を残してくれていた鏡山は、かねて身体慣ならしにいい山だと考えていました.函館戦争にいわれのある場所でもあるので、一度は頂を踏みたいとも思っていました.知人を誘ってその鏡山へ行ってきました.

市の渡沢(北斗市茂辺地)に架かる橋のたもとが登山口です.頂上直下まで続いている林道を辿ればいい.ほとんど幅の広い尾根上の林道になっています。深い谷間を眼下に、古い段丘と見紛う地形の上を歩くのは、とて明るく開放的で気分もいいものでした.

つわもの共の頂の砦.古戦場の鏡山はそれと首肯できる見晴らしだろうと、津軽海峡~函館平野の大展望を期待して出かけました.しかし残念な春霞.期待したすっきりした見通しには恵まれず、うす雲のかかった桂岳、不二山、袴腰山、横津連峰などを確認できる程度に終わりました.その分静かな広い山頂は無風の心地よさはありました.

手入れの行き届いたスギ、カラマツ、トドマツの植林地、幼齢の雑木林、山頂のアキグミの大株、エゾライチョウの「ため糞」、ウグイスの初鳴き、クマゲラの鳴き、バッコヤナギの綿花穂、市の渡沢の小川の流れる音、そしてフキノトウを採取したり、鏡山は残雪の春山を楽しめ、いいトレーニングにもなった怪我後の初歩きでした.<帰宅後痛みだした胸は翌日午後にはおさまりました.えっさえっさと、山登りできる時期まで、しばらくは近郊の山巡りです.>
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↓   八雲層相当の砂質・泥質頁岩の深い浸食谷.スカイラインにスギ植林地が見える.谷は深く尾根は幅広い幼年地形.写真のように谷壁は急斜面であっても、里に近い森林は家庭用燃料に繰り返し利用される幼齢の雑木林になっていた.


↓   カラマツとトドマツの混交した植林地.植えたカラマツが失敗し、その後トドマツに植え替えられた来歴を持つ林と思われた.



↓   枝打ちが三回(一回に枝打ちされる長さを2mとすると三回で6m)ほど繰り返された集約的管理のスギ林.市の渡沢の植林地のおおくはスギが選択されていた.

↓   広い尾根(高位段丘と見紛う尾根)の上に林道は作られていた.左側が深い谷間になる.砂質・泥質岩の八雲層相当の谷は浸食された深いが尾根は緩やかな幼年地形.

↓   鏡餅状の山頂緩斜面は無立木地だった.アキグミの大株.明褐色部は樹皮が剥がされ露わになった木部.ウサギの食痕であった.


↓   太い枝がウサギに食害された様子.食害された枝の形を写したような模様が雪上に描かれていた.樹皮が落ちた模様であった.樹皮は捨てられ、樹皮内側にある木部(形成層がある維管束部)を食べていることが分かる.「ノウサギの越冬時の餌は木の皮だ」は間違いである.けっして樹皮を食べてはいない.形成層を含む木質部を食べたいるのである.


↓   写真は頂直下の疎林で見たエゾライチョウの「溜め糞」.ダケカンバの果穂と見紛う.それに極似の黄褐色、円柱形、大きさだった.
◆現場の印象 1ダケカンバの果穂がため糞のように集まった現象を見たことない 2融雪時の水分程度で同果穂はフニャラと柔らかくならない
持ち帰り乾燥させてルーペで観察した 1全体は白黄褐色の植物繊維に固められ中に赤褐色の芽鱗が混在していた 2表面の一部に野鳥の糞に特有の白い粘着物質が付着していた 3果穂であれば「果軸、芽鱗、苞鱗、種子」が規則的に配列しているが芽鱗と見た物の配列は不規則だった
文献で当たった結果 1エゾライチョウのため糞 2北海道土着の山鳥といえばエゾライチョウ(キジの仲間)3細長く黄色がかった茶褐色の糞(糞は鶏のものと似ている) 4かってはフィルドにおいて普通に観察されたが最近はあまり見られなくなった 5ノウサギなどと同じく地上ではブッシュ等に潜んでいて「そのときまとまった糞」をするらしい 6最近は見れるのは稀になったがエゾライチョウのためふんをたまに見ることがある(「野生動物の痕跡を読む」)

↓    広々として鏡餅状の鏡山山頂:遠くに桂岳、不二山、袴腰山.




↓   三角点の上に立って.遠くは濃霧で大展望は期待外れだった。しかし無風で静かな頂に満足したメンバー.