2019年2月23日土曜日

鈴木大拙の妻

鈴木大拙の妻
(妻を思うというよりも、自分の半分んがなくなったというほうがよかるべし、殊に自分の場合は。)

「大乗仏教中にて、
亡妻の心を最も深く動かしたものは、
菩薩思想であった。

「すなわち”菩薩”の存在を可能ならしめる”大悲の思想”であった。
「大智によって空を体得する方面はさもあらばあれ、

亡妻は女性として、
やはり大慈悲の権化として、
この世に生まれ代わり死に代わって、
最後の一人の衆生をも済度せんという菩薩に対して、
非常ななつかしさを覚えていた。

「そして”衆生”というのは、
人間のみを意味するのではなく、
人間以外の動物はいうまでもなく、
草木や山河の類までも含めたものなのである。

「それで亡妻は、動物保護のため、鎌倉に慈悲園なるものを経営して、
自分相応の力で、訴うる途なき動物保護に従事した。・・・」