2010年5月8日土曜日

ブナ

.201053日(月)
【芽生えたブナ】 201053日の朝、庭仕事中に偶然見つけた(下図)。1973年に一年生山引き苗を、アカイタヤとともにBanntannも良しとして、庭の片隅にあったナナカマドの樹下に植えたものだった。1009年、一本の枝に少しばかり、この木に初めての開花・結実を見た。36年目であるが、自然林では、ブナの結実に要する樹齢は50年とみるのが定説であったから、「オォ 早い」と、昨秋は開花・結実の結果に満足していた。








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予想だにしなかった芽生えだった。昨秋の薪割り台の柱の跡(孔)に隣接して、ブナが芽生えていた。厚みのある双葉(子葉)の間から、赤みを帯びた初生葉が顔を出していた。初生葉は絹光沢の白軟毛に包まれて美しい。
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庭のブナは孤立木である。町内の範囲には当然ブナはないから、100%自家受粉に間違いない。庭の孤立木からの落下種子は、不稔果実(シイナ)の確率が極めて高い状況だった。したがって発芽(芽生え)は予想外だった。庭の積雪が、保湿低温―そして休眠打破がうまくいったのであろう。
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偶然:今年の春山は雪解けが遅く、利別(点名)岳1021.4mに遊んだり遅くまで春山を楽しんでいた。庭のかたずけも疎かにしていて、サクラ咲いて慌ててガツガツ掃除を始めたのでチッチャな双葉のブナはかき消る公算大であった。偶然生育できた二代目ブナの誕生に祝福。
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北海道のブナ(Fags crenata Blume.)の純林は渡島半島部の黒松内以南の標高10m~600mの山地に生育している。(分布上限は地形・気象要素によって上下するが、最高地点は小さな林で950m、小さな孤立木で1050mに生育していた。)
ブナ林の領域は、沢沿いから尾根まで広い地形領域に生育している。純林が多く、ブナの混交率は80%を超えるのが通常である。
高いものでは35m超、太さは150cm超のものもあったが、高さ30m、太さ80cmを超えるブナに遭遇すると畏怖の念を抱く。発芽後の稚樹は全天の林道や土場の縁など、水分の条件が良ければ強光下ほど生長が良さそうだ。ブナ林の林床では5年生存率は1%程度と観察される。
(開花・結実の研究:胸高直径20cm前後、樹齢40年生前後 1987・橋詰)