亀川奥の桂岳にSyo氏と登った。スキーで上がったのは昨冬であったが、今日は世界に冠たる麗らかな函館の五月。頂に至るルートにある高圧線付近で、赤くかすむシュリザクラの林を見た。一瞬目を疑ったがまぎれ見なくシウリザクラだった。トドマツ植林地だったが成林に失敗した跡にシウリザクラが天然更新した幼齢林であろう。一般にシウリザクラは他の樹種に交じって単木で高木林の樹冠を占める種であるが、これほど見事なシウリザクラの純林を見たことがない。ほとんどの場合ブナ林や二次林に点生する樹種だからだ。ここで見たシウリザクラの二次林は、他に例がないことから、今後どのような経過をたどるのかまことに興味深い。淘汰されて多種の中に点生するのだろうか。はたまたこのままシュリザクラの純林として成林するのであろうか。
場所は世界測地系北緯41度46分59秒、東経140度28分19秒。背景のピークは・662m。明るい紅色に輝く新葉はシウリザクラだ。樹幹も写真で見えるようにしっかり通直だ。シュリはサクラ属の中で珍しく通直な幹をしている優れた用材だ。このようにシウリザクラが集団で生えているのはあまり見ないことだ。トドマツ植林地の中に凹形の緩斜面があって、ここはやや湿った土壌(弱湿性褐色森林土)である。トドマツが、他の植生に圧倒されてしまい、植林地がシウリザクラ林に取って代わろうとしている。 トドマツ林は1971年植栽だ。したがって、シユリザクラの樹齢は39年と考えてほぼ間違いないだろう。 別名:シオリザクラ。アイヌ語名:シウリsiw-ni:苦い木からの意。学名 Prunus ssiori Fr. Schmidt。アイヌ語名起源。若葉は赤褐色,葉身は先が尾状にとがり、腺で終わる鋭鋸歯、葉底はは深い心形。赤い若葉は美しいが、姿かたちが整った成葉も増して美しい。葉柄の上部の腺点は大きい。 |